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2025/01/25 01:45

 

他人から見た、「自分」の輪郭


━━ミステリアスなイメージのあるあいさん。他人からどんな人と言われることが多い? 

「よく分かんない」っていうのは一番言われます。何考えてるのか分かんないとか、変わってるとか。

自分ではそういうふうに思ってないというか、自分が変わってると思ったことがなくて。どこが?っていうと、あんまり喋らないから、ちょっと喋った内容と行動がすごい乖離しているみたいで。

例えば、「まじで勉強したくない」とか、「提出物絶対出せない」とか言うんだけどずっと参考書読んでたりするから、周りはどっちなの、みたいな…(笑)。

「学校で人と一緒に勉強したくない」だけで勉強が嫌いなわけではないけど、そこまで他人は説明を求めていないはずと完結するから、よくわからないイメージに繫がるのかな。

 

椅子に座っている女性

中程度の精度で自動的に生成された説明

 

━━人からどう思われているのかを気にしてしまうことはある?

ありますね。私もともとは、すごく吃りで。それを直したくて、飲食店のホールで働いたのですが。そのときは、メニューの名前、「スパゲッティ」を言うのに3回吃るみたいな(笑)。

そのときに、「こういう感じじゃ全然ダメなんだ」と。人から信用を得られないんだって思って。

そこから、「人からどう思われるか」というのを軸に、自分の喋り方、振る舞いなどを立て直していきました。なので、人からどう思われるかは、常に気にしていたという感じですね、20代ぐらいまでは。

 

床に寝そべる女性

中程度の精度で自動的に生成された説明

━━知り合った頃(20代半ば)というのは、人の目に映る自分を立て直した後だった?

そうですね。それ(喋りや振る舞い)が自動化されたバージョンというか(笑)。

━━人からこう見られたいという自分でいることは、しっくりきている?

特にしっくりはきてないけど、便利ではある。多分皆そうだと思うけど、素で話していける人って、そんなにいないんじゃないかな。

最初に相手に変なインパクトを与えないためには、ちょっと普通っぽい人?を演じてから、徐々に…というのが正攻法だと思う。

 

執着を手放す


━━出産され、1児の母になったあいさん。母になって、変わったことはある?

子供が産まれて、一番変化したのは・・・諦め?いろんなことに執着しないようになりました。

同世代の人は、結構いろんなことに向かって走っていく。だけど、今自分はスタートを切れる状態ではないから。スタートを切ってしまったら、子どもの命に関わるみたいな部分もあるし、とりあえず、いろんなものに執着しないように。

あれもやりたい、これもやりたいみたいなのは、まあ、できる時が来たらそういうのもいいよね〜みたいな。

 

━━他人と自分を比較したり、人の目を気にしすぎてしまう、という人に何かアドバイスをするとしたら?

私だったら、自分に期待をしないっていうのを一番大事にしてるかなと思います。

「自分はもうちょっとできたはず」とか、「自分はあそこにいられた」と思うと悔しくなる。けど、自分はそうじゃないし、今回の自分の人生はそういうふうにプログラムされてないと思うと、もう全然そういうふうに思わなくなるから。

 

「解放」とは、一人きりで過ごすこと


私にとって自分自身を解放するっていうのは、一人きりでとにかく時間を過ごすこと

とにかく視界に誰も入らないところに行って、いろんなことをシャットダウンするというのが自分にとっていちばん大事。

SNSとかも全然、あまり興味がないけど、綺麗なものをみるのは好きかな。

基本的に、何かにあまり興味がないタイプ。 

 

━━いちばん自分らしくいられる時間って、何をしているとき?

植物と向き合ってる時間(個人でお花屋さんを経営しているので)が、いちばん自分らしくいられる時間かな。

多分、ペットとかと似てる。お花だったら、この顔のいちばん綺麗に見えるところはどこかとか、どこか痛んでないかとか。

(植物は)お世辞を言ったり、本当は思ってないことを言わないから。自分が全部見つけてあげて、それを綺麗にしてあげてっていうところが、静かだし、達成感がある。

 

人, 屋内, 衣料, 持つ が含まれている画像

自動的に生成された説明

 

時間が経つにつれて形が変わったり芽が出てきたり、周りについてる気が付かないほど小さい花が咲いたりする植物っていっぱいあるのね。

儚いけど、気持ちが落ち着いておすすめ。

 

椅子に座って電話をしている女性

低い精度で自動的に生成された説明

 


model : Ai Toishi
photo : Koki Saito
make : Rino
hair : Mika Takitani
interview・text:Megumi Togano

※インタビュー内容は、撮影当時(2022/9/5)のものです